(問題の可読性を高めるため、文章を一部改変した)

 平面上に 2 点 \( \mathrm{A,\ B} \) があり, \( \mathrm{AB}=8\) である。直線 \( \mathrm{ AB } \) 上にはない点 \( \mathrm{ P } \) をとり, \( \triangle\mathrm{ABP} \) をつくり, その外接円の半径を \( R \) とする。
 太郎さんは,コンピュータソフトを使って点 P をいろいろな位置にとった。

  1.  太郎さんは, 点 P の取り方によって外接円の半径が異なることに気づき, 点 P をいろいろな位置にとるとき, 外接円の半径 \( R \) が最小となる \( \triangle\mathrm{ABP} \) はどのような三角形になるか考えることにした。
     まず, 正弦定理により, \( \displaystyle 2R=\frac{8}{\sin\angle \mathrm{APB}} \) である。よって, \( R \) が最小となるのは \( \angle \mathrm{APB}=90^\circ \) の三角形である(\( \because \sin 90^\circ=1 \))。このとき, \( R=4 \) である。

  2.  次に, 太郎さんは, (1) の点 P の取り方に条件を付けて, 直線 \( \mathrm{ AB } \) に平行な直線を \( \ell \) とし, 直線 \( \ell \) 上で点 P をいろいろな位置にとる。このとき, 外接円 \( R \) が最小となる \( \triangle\mathrm{ABP} \) はどのような三角形か考えることにした。
     (1) から, 線分 \( \mathrm{ AB } \) を直径とする円を \( \mathrm{ C } \) とし, 円 \( \mathrm{ C } \) に着目する。直線 \( \ell \) は, その位置によって, 円 \( \mathrm{ C } \) と共有点をもつ場合ともたない場合があるので, それぞれの場合に分けて考える。
     直線 \( \mathrm{ AB } \) と直線 \( \ell \) との距離を \( h \) とする。直線 \( \ell \) が円 \( \mathrm{ C } \) と共有点をもつ場合は, \( h \leqq 4 \) のときであり, 共有点をもたない場合は \( h > 4 \) のときである。

    (i)\( h \leqq 4 \) のとき
     直線 \( \ell \) が円 \( \mathrm{ C } \) と共有点をもつので, \( R \) が最小となる \(\triangle\mathrm{ABP}\) は, \( h<4 \) のとき, 直角三角形であり, \( h=4 \) のとき直角二等辺三角形である。

    (ii)\( h > 4 \) のとき
     線分 \( \mathrm{ AB } \) の垂直二等分線を \( m \) とし, 直線 \( m \) と直線 \( \ell \) との交点を P\(_1\) とする。直線 \( \ell \) 上にあり点 \( \mathrm{P_1} \) とは異なる点を \( \mathrm{P_2} \) とするとき \(\sin\angle\mathrm{AP_1B}\) と \(\sin\angle\mathrm{AP_2B}\) の大小を考える。
     \(\triangle\mathrm{ABP_2}\) の外接円と直線 \( m \) との共有点のうち, 直線 \( \mathrm{ AB } \) に関して点 \( \mathrm{P_2} \) と同じ側にある点を \( \mathrm{P_3} \) とすると, 円周角の定理より, \(\angle\mathrm{AP_3B} = \angle\mathrm{AP_2B}\) である。また, \(\angle\mathrm{AP_3B} < \angle\mathrm{AP_1B} < 90^\circ\) より \(\sin\angle\mathrm{AP_3B} < \sin\angle\mathrm{AP_1B} \) である。このとき

    (\(\triangle\mathrm{ABP_1}\) の外接円の半径) < (\(\triangle\mathrm{ABP_2}\) の外接円の半径)

    であり, \( R \) が最小となる \( \triangle\mathrm{ABP} \) は点 \( \mathrm{P} \) が 点 \( \mathrm{P_1} \) にあるときであるから, 二等辺三角形である。

  3.  (2) の考察を振り返って, \( h=8 \) のとき, \( \triangle\mathrm{ABP} \) の外接円の半径 \( R \) が最小である場合について考える。このとき, \( \triangle\mathrm{APB} \) は \( \mathrm{AB=4,\ AP=BP=4\sqrt5} \) の二等辺三角形になる。
     したがって, \( \displaystyle \cos \angle\mathrm{APB}=\frac{(4\sqrt5)^2+(4\sqrt5)^2-8^2}{2\cdot4\sqrt5\cdot4\sqrt5}=\frac35 \) となるので, \( \displaystyle \sin\angle\mathrm{APB}=\frac45 \) であり, 正弦定理より \( \displaystyle 2R=\frac{8}{\frac45} \) であるから, \( R=5 \) である。

コンピュータソフト

点 P の位置 (\( \mathrm{AB} \) の垂直二等分線からの距離


\( h= \)


この図形を作成するためにSVGGraph.jsを利用しています。
\( h \) が \( 0.1 \) 毎に変化するため, このソフトでは \( \triangle\mathrm{ABP} \) が正三角形になることはありません(\( h=4\sqrt3=6.9282\cdots\cdots \) のとき正三角形になるため)。しかし, 問題を解くことにおいては支障が無いため, この仕様としました。