2点からの距離の2乗の和が一定である点の軌跡
- 軌跡
- 同一の条件を満たす点の集合のこと, または同一の条件を満たす点が動いてできる図形のこと
- 求めたい軌跡上の点 P の座標を (x, y) とおき, 与えられた条件を x, y の関係式で表す。
- 上記の関係式から軌跡の方程式を導き, その方程式の表す図形を求める。
- その図形上の任意の点が条件を満たしていることを確認する。
2点 A, B からの距離の2乗の和が一定の k である点 P の軌跡を求める場合, AP2+BP2=k から, x, y の関係式を求めればよい。
2点からの距離の2乗の和が一定である点の軌跡
点 P の位置:0
座標:( -10 , -10 )
点 B の座標:( -10 , -10 )
距離の2乗の和:1
方程式:(x+10)2+(y+10)2=12
軌跡:中心 (−10, −10) 半径 √22 の円
計算過程:P の満たす条件はAP2+BP2=1AP2=(x−(−10))2+(y−(−10))2,
BP2=(x−(−10))2+(y−(−10))2 を代入して整理すると
x2+y2+20x+20y+3992=0したがって, 条件を満たす点 P は, 円 (x+10)2+(y+10)2=12 上にある。
逆に, 円 (x+10)2+(y+10)2=12 上の任意の点 P(x, y) は, 上の計算を逆にたどって, AP2+BP2=1 を満たすことが分かる。
よって, 求める軌跡は, 中心 (−10, −10) 半径 √22 の円である。
2点からの距離の比が一定である点の軌跡
2点 A, B からの距離の比が m:n である点 P の軌跡を求める場合, AP:BP=m:n から, x, y の関係式を求めればよい。
この軌跡について, m≠n ならば, 線分 AB を m:n に内分する点と外分する点を直径の両端とする円となる。この円を アポロニウスの円 という。
m=n ならば, 線分 AB の垂直二等分線となる。
2点からの距離の比が一定である点の軌跡
点 P の位置:0
点 A の座標:( -10 , -10 )
点 B の座標:( -10 , -10 )
距離の比:
m= 1
n= 1
方程式:存在しない
軌跡:軌跡はない
計算過程:P の満たす条件はAP:BP=1:1これより AP2=BP2
AP2=(x−(−10))2+(y−(−10))2,
BP2=(x−(−10))2+(y−(−10))2 を代入して整理すると
点 A, B の座標が等しいので求める式は存在しない。
ある1点と円上の点との距離の比が一定である点の軌跡
点 Q が円 (x−a)2+(y−b)2=r2 上を動き, 点 A と点 Q を結ぶ線分 AQ を m:n に内分する点 P の軌跡を求める場合,
点 Q の座標を (s, t) , 点 P の座標を (x, y) とする。
点 Q は円 (x−a)2+(y−b)2=r2 上にあるので
(s−a)2+(t−b)2=r2⋯⋯①
点 P は線分 AQ を m:n に内分する点であるから, x, y をそれぞれ s, t で表すことができる。
その式を変形して s, t を x, y で表し, それを ① に代入して, x, y の関係式を求めればよい。
ある1点と円上の点との距離の比が一定である点の軌跡
円 C: (x−1)2+y2=10(灰色の円)
円 C 上の点 Q の位置:0
円 C の中心の座標:( 1 , 0 )
円 C の半径の2乗:10
点 A の座標:( -1 , 0 )
距離の比:
m= 2
n= 1
方程式:(x+13)2+y2=109
軌跡:中心 (−13, 0) 半径 √103 の円
計算過程:点 Q は, 円 (x−1)2+y2=10 上にあるから
(s−1)2+t2=10 ⋯⋯ ①
P は線分 AQ を 2:1 に内分するからx=−1+2s3, y=0+2t3よって,s=3x+12, t=3y2これらを ① に代入して整理すると x2+y2+23x−1=0すなわち (x+13)2+y2=109
したがって, 条件を満たす点 P は, 円 (x+13)2+y2=109 上にある。
逆に, 円 (x+13)2+y2=109 上の任意の点 P(x, y) は, 上の計算を逆にたどって, 線分 AQ を 2:1 に内分することが分かる。
よって, 求める軌跡は, 中心 (−13, 0) 半径 √103 の円である。
ある1点と放物線上の点との距離の比が一定である点の軌跡
点 Q が放物線 y=ax2+bx+c 上を動き, 点 A と点 Q を結ぶ線分 AQ を m:n に内分する点 P の軌跡を求める場合,
点 Q の座標を (s, t) , 点 P の座標を (x, y) とする。
点 Q は放物線 y=ax2+bx+c 上にあるので
t=as2+bs+c⋯⋯①
点 P は線分 AQ を m:n に内分する点であるから, x, y をそれぞれ s, t で表すことができる。
その式を変形して s, t を x, y で表し, それを ① に代入して, x, y の関係式を求めればよい。
ある1点と放物線上の点との距離の比が一定である点の軌跡
放物線 C:y=x2(灰色の放物線)
放物線 C 上の点 Q の位置:0
放物線 C:y=ax2+bx+c としたときの係数
点 A の座標:( -1 , 0 )
距離の比:
m= 2
n= 1
方程式:y=32x2+x+16
軌跡:放物線 y=32x2+x+16
計算過程:点 Q は, 放物線 y=x2 上にあるから
t=s2⋯⋯①P は線分 AQ を 2:1 に内分するからx=−1+2s3, y=0+2t3よって,s=3x+12, t=3y2これらを ① に代入して整理すると y=32x2+x+16したがって, 条件を満たす点 P は, 放物線 y=32x2+x+16 上にある。
逆に, 放物線 y=32x2+x+16 上の任意の点 P(x, y) は, 上の計算を逆にたどって, 線分 AQ を 2:1 に内分することが分かる。
よって, 求める軌跡は, 放物線 y=32x2+x+16である。